見分けてどうする
　バードウォッチング を始めたころ、皆さん、飛んでいるカラスと カワウ を見分けているのが不思議でならなかったことを思い出す。

　鳥に興味を持っていない人にとっては、「それを見分けてどうする」 という問題である。　それが、まったくどうもしないのである。　黒い鳥がいる、白い鳥もいる、ぐらい知っていれば、特に生活に支障をきたすこともない。




　私にとって、クズもその程度であった。　ただの草の範疇であった。　それが、一つ知り二つ知りという具合に場数を重ねていく内に、興味が湧いてくる一方、やたら知らない植物が目につき出し、その未知なる多様さに圧倒されてしまった。

　このような場合、よく山登りに例えられるが、最終目的たる頂上を見据えて上っていては、その遅々たる歩みに気が遠くなるだけであろう。　それが、足元を見据えて上って行けば、クズの花に出逢えたように、いろんな出逢いが待っているに違いない。　そのような歩みこそが私の望むところである。

【葉】　葉は 3個の小葉からできていて、長い葉柄がある。

葛 くず

(奈良県国栖 くず の地名に因むという) 　マメ科の大形蔓性の多年草 　山野に多く、蔓の長さは 10m以上にも達する。 　葉は三小葉の 複葉 で大きく、裏面は白っぽい。 　秋、葉腋に花穂をつけ、紫紅色の蝶形花を総状に咲かせ、花後、 ひらたい莢 さや を生じる。 　根は肥大し、生薬の葛根 かっこん として解熱薬に用い、また、葛粉を採 る。 　蔓の繊維をとって葛布を織り、また蔓で行李などをつくる。 　秋の七草の一 　くずかず ら

広辞苑第四版より引用

秋の七草　2007/11/18追加
　この、あまり好まれていそうにないクズが、秋の七草の一つとは知らなかった。　山上憶良が日本の秋の風情を詠んだ歌に由来するというから、当時は親しまれていたのであろう。　今でも、くず粉や葛根湯などに利用されている。

　『萩の花　尾花葛花 おばなくずばな　瞿麦 なでしこ の花　姫部志 おみなえし　また藤袴　朝顔の花』

【学名の意味】　*112
Pueraria	属名 pueraria は、スイスの植物学者 M. N. Puerari を記念したもの
lobata	種名の lobata は、"浅く切れ込んでいる" という意味で、小葉の形に基づいてもの 和名クズは、昔大和の国の国栖 （くず） の人が本種からくず粉をつくり売り歩いたためと言われている

【英名の意味】
kudzu	日本語から 「クズ kudzu」 である
vine	�T 〔植〕 ブドウ �U 　1 つる植物 《ツタ （ivy）、キュウリ （cucumber）、メロン （melon） など》 　2 ［しばしば複合語をなして］ つる； （つる植物の） 茎 a hop vine ホップのつる
ｂｙ New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998

【関連記事】
マメ科の仲間たち	サムネイルで一覧表示